チロシナーゼ
ほとんどの美白成分がチロシナーゼ阻害によるメラニン生成を目的としています。そのチロシナーゼとは何なのかについて解説していきます。結論はチロシナーゼとはメラニンを合成するまでの経路における律速酵素です。以下はそのメラニンができるまでの過程です。
メラニン生合成経路
ヒトの皮膚色は4種類の色素、「メラニン」「カロチン」「酸化型ヘモグロビン」「還元型ヘモグロビン」により決定しています。その中で最も重要な因子はメラニン色素です。メラニンはフェノール類物質(チロシン、ドーパ、ドーパキノン)の酸化により形成された高分子色素の総称です。
生合成経路としてはアミノ酸の一種かつ出発物質であるチロシンに律速酵素であるチロシナーゼが働きかけることでドーパに変換され、さらにドーパにも働きかけることでドーパキノンへと変換されます。ドーパキノンは、システイン存在下の経路では黄色-赤色のフェオメラニン(pheomelanin)へ、それ以外はドーパクロムまで変化し、そこからDHI(5,6-dihydroxyindole)に変化する合成経路と、TRP-2(tyrosinaserelated protein-2)およびTRP-1(tyrosinaserelated protein-1)と反応する合成経路の2つの経路から茶褐色-黒色のユウメラニンに合成されることが知られています。このようにフェオメラニンとユーメラニンが混ざり合い肉眼的に観察される色を呈します。
引用;Hiroshi Tanaka. Skin Whitening Products and Their Effects.
引用; Modulating skin colour: role of the thioredoxin and glutathione systems in regulating melanogenesis
まとめ
このような背景から、チロシナーゼおよびTRP-2の活性を阻害することで色素沈着を抑制できます。美白剤の多くはこのチロシナーゼを阻害することでシミ対策しています。