GOVC

新規ノニオン性ビタミンC誘導体“グリセリルオクチルアスコルビン酸“

GO-VC(カプリリル2-グリセリルアスコルビン酸)

医薬部外品美白有効成分として現在は厚生労働省に承認されていない成分の為、医薬部外品表示名はありません。ビタミンC誘導体の高い安定性に加え、水溶性ビタミンCの弱点である低い皮膚透過性を補った両親媒性ビタミンC誘導体の1つです。GOVCは構造的にビタミンCの反応性の高い部位を親水性かつ保湿性のあるグリセリンに置換、脂溶性かつ抗菌性のあるオクタノールに置換したビタミンC誘導体です。これにより高い皮膚浸透性と高い保湿性のあるビタミンC誘導体となっています。ビタミンC誘導体の中でも保湿型ビタミンC誘導体に分類されています。分子量は362(<500)であり通常のスキンケア化粧品に含まれていた場合は容易に浸透します。以下にGO-VCの効果を説明していきます。

製剤の特徴

ローション、クリーム、美容液、ジェルなど多くの製剤への配合が可能となっています。

アスコルビン酸の反応性の高い水酸基をグリセリンとオクタノールで置換していることで高分子ゲルを配合した製剤(ローションやジェルなど)に粘稠度を低下(サラサラになる)させることなく透明な状態で長期間安定に保つことができます。

GO-VC以外のビタミンC誘導体のAPPSやAA-2Gはカルボキシビニルポリマーやポリアクリル酸ナトリウムなどの化粧品に使用されている水溶性高分子ゲルに添加した場合、沈殿します。GO-VCは上記のように構造的に沈殿しない性質とすることでどの製剤にも混ぜられるようになっています。

ノニオン型(非イオン型)ではあるが完全には非イオン型ではなくマイナスの電荷をもっているためイオン導入も可能と言われています。(従来のビタミンC誘導体はアニオン型で水溶液に溶解している)

引用;株式会社ITO.新規ビタミンC誘導体GO-VCの機能性とニキビ及びその炎症に対する効果効果

GO-VCの効果効能

皮脂分泌抑制

脂質の過酸化抑制

両親媒性ビタミンC誘導体も改良されてきていますが、APPSでも水酸基をパルミチン酸などの脂質に置換しているため、紫外線の暴露により遊離脂肪酸が生成し過酸化脂質が発生することは懸念されます。GO-VCはパルミチン酸などの脂質の代わりにオクタノール(アルコール)で両親媒性としているため過酸化脂質の発生も抑えることが可能です。

アクネ菌殺菌効果

GO-VCは反応性の高い水酸基をオクタノールで置換することでニキビの原因のアクネ桿菌を殺菌する効果を得ています。

引用;永田 武.新規両親媒性ビタミンC誘導体GO-VCの臨床効果.Fragrance Journal;2017.(43)(9),39-44.

メラニン生成抑制

多くのビタミンC誘導体は色素を決定するメラニンを合成する律速酵素であるチロシナーゼを阻害することで美白効果を期待する薬剤が多いです。しかしGO-VCはチロシナーゼ活性阻害を介さないでメラニンの合成を抑制するといわれています。具体的にはチロシナーゼmRNAとPmel17タンパク質の低下を通じてメラニン形成を抑制しています。さらにメラノサイトからケラチノサイトへのメラノソーム輸送を阻害してメラノソームの分解を促進することで美白効果を得ています。

従来の美白剤である多くのフェノール化合物は、チロシナーゼと反応しメラノサイトの細胞毒性を誘発するため、白斑症を発症するリスクがありました。

引用;The Mechanism of Melanocytes-Specific Cytotoxicity Induced by Phenol Compounds Having a Prooxidant Effect, relating to the Appearance of Leukoderma

これに対し、GO-VCの美白メカニズムは、チロシナーゼ活性阻害に依存しないメラニン生成阻害が行える為、白斑症リスクが低い安全で効果的な美白剤であることを示唆しています。

引用;株式会社ITO.新規ビタミンC誘導体GO-VCの機能性とニキビ及びその炎症に対する効果効果

ニキビ痕の炎症後色素沈着に対して著効して方が少なからず報告されており、肌はトーンアップされ、ニキビ痕のくぼみや凸凹の高さや粗さも改善していることが確認されています。

引用;Dr‘s Choice

コラーゲン生成

培養ヒト皮膚線維芽細胞にGO-VCを25および50μmol/Lを添加し、培養上清のⅠ型コラーゲンを測定したところ、以下のグラフのように、濃度依存的にⅠ型コラーゲンの合成が促進しています。

 

引用;株式会社ITO.新規ビタミンC誘導体GO-VCの機能性とニキビ及びその炎症に対する効果効果

70%以下に毛穴数を減少させたとの報告もありますが、これはコラーゲン合成が促進されていることに由来するのでしょう。

引用;伊東忍.プロビタミンCの毛穴異常に対する効果. フレグランスジャーナル 2017.45(2):39-45.

まとめ

ビタミンCの効果である美白効果や皮脂分泌抑制伊東忍 (2017). “プロビタミンCの毛穴異常に対する効果”. フレグランスジャーナル 45(2): 39-45.効果をさらに高め、コラーゲン生成率の向上、毛穴の数の減少、にきび痕の陥凹の緩和、脂質の過酸化抑制まで報告されています。何よりも非イオン型のビタミンC誘導体となっているので酸性のビタミンCの特徴であるピリピリ感が少ないのメリットです。また、構造上どの基材と混ぜても変性せず、保存状況によらず高い安定性を維持できる点は素晴らしいです。ニキビの治療において最初から最後まで使えるのはもちろん、予防でも効果的ですし、肌のトーンアップなど幅広く使えそうです。