ボトックス

ボトックス®︎

A型ボツリヌス毒素製剤(ボトックス®︎)は我が国では保険診療上、眼瞼下垂、片側顔面痙攣、痙性斜頸、小児脳性麻痺、上肢・下肢痙縮に対して認可されています。B型ボツリヌス毒素製剤(ナーブロック®︎)は痙性斜頸に対して保険適応となってます。保険適応ですが美容目的に顔面筋への施注も認可されています(ボトックスビスタ®︎

内容は下記より引用、一部改変しています。

引用;ボトックス,ボトックスビスタ.高久史麿:治療薬マニュアル2012;365-369.

ボトックスの作用機序

抹消の神経筋接合部における神経終末内でのアセチルコリン放出により神経筋伝達を阻害し、筋弛緩作用を示します。神経筋伝達を阻害された神経は軸索側部からの神経枝の新生により数ヶ月後には再開通し、筋弛緩作用は消退します。

引用;botox vista;アラガン社

持続期間

通常は3〜4ヶ月で消退し投与を繰り返す必要があります

長期間繰り返す場合は、中和抗体の産生により効果が認められなくなることがあります。

ただし初回よりは反復投与された時の方が患者満足度は高い傾向にあります。

引用;botox vista;アラガン社

注意点

  1. 女性は最終投与後から2回月経を経るまでは避妊すること
  2. 男性は最終投与後3ヶ月は避妊すること
  3. 以下の薬剤内服中は筋弛緩作用が増加
    ・スペクチノマイシン
    ・ゲンタマイシン
    ・フラジオマイシン
    ・ポリミキシンB
    ・ミノサイクリン(ミノマイシン®︎
    ・ドキシサイクリン(ビブラマイシン®︎
    ・クリンダマイシン(ダラシン®︎
    ・バクロフェン<抗痙攣薬>
    ・ブチルスコポラミン<抗コリン薬>
    ・ジアゼパム・エチゾラム<BZ系>
    ・スルピリド

副作用・合併症

・ショック(0.01%)
・眼症状;兎眼/閉瞼不全など(0.56%)
・呼吸障害、嚥下障害(0.49%)
・皮膚症状;発疹、掻痒感、紅斑
・注射部位の症状;腫脹、疼痛
・血液;血球減少
・消化器症状;食欲不振、吐き気、下痢
・精神症状;頭痛、めまい、失神、痺れ

禁忌

・妊婦/授乳婦
・閉塞隅角緑内障(AChの放出を抑制し狭隅角が悪化)
・筋疾患

実際の治療

画像は「梶 龍兒.ボツリヌス療法アトラス.2022;vol1,6-246.」より引用しています。

僧帽筋(肩ボトックス)

  1. 1ヶ所あたり最大20単位
  2. 注入箇所は2〜4ヶ所、垂直に注射
  3. 注入部位は頸部と肩の境界
  1. 1ヶ所あたり最大20単位
  2. 注入箇所は 2〜4ヶ所
  3. 注入部位は肩甲棘と脊柱を結ぶ線上

 ※垂直に刺入しすぎると気胸のリスク

頭半棘筋/頭板状筋(肩ボトックス)

腋窩(腋ボトックス)

 

 

腓腹筋/ヒラメ筋(ふくらはぎボトックス)

口角下制筋(スマイルボトックス)

オトガイ筋(梅干しジワボトックス)

上唇挙筋(ガミースマイルボトックス)

眼輪筋(カラスの足跡(目外側のシワ)ボトックス)

前頭筋(おでこのシワボトックス)

 

皺眉筋(眉間のシワボトックス)