老人性色素斑
老人性色素斑の治療で最も推奨される治療法はレーザー(ピコ秒レーザーやナノ秒レーザー)と言われています。
レーザーダウンタイム
老人性色素斑にピコ秒レーザーを照射すると直後に病変部が白く変色します(IWP:Immediate Whitening Phenomenon)。その数分後からは元のシミより黒くなってかさぶたとなります。1週間ほどでかさぶたは剥がれ、色素斑も同時に薄くなります。剥がれた後の皮膚は淡紅色となりますが徐々に落ち着いてきます。治療1ヶ月後に30%の方に炎症後色素沈着(PIH)が生じ、シミ様となります。通常このPIHは何もせずに3ヶ月〜6ヶ月で改善します。なかなか色素沈着が取れない場合は美白剤やレチノール外用も検討します。
雀卵斑
鼻を中心に分布する遺伝性皮膚疾患です。老人性色素斑が細かく多数ある場合は鑑別が難しく、問診に頼ることとなります。ただし治療方法に違いはないので必ずしも鑑別診断は重要ではありません。そばかすは遺伝性の疾患なので、基本的に根治することができませんが、しばらくの間は薄く保つことは可能です。老人性色素斑なら根治可能です。
治療はレーザー(ピコまたはナノ)またはIPL
後天性真皮メラノサイトーシス
ADMは頬骨付近に小斑点状に分布します。雀卵斑や老人性色素斑と鑑別を要する場合があります。灰褐色を呈しており、あざに近いしみとなっています。メラニン色素がが真皮にあるため、表皮にある一般的なしみと比較すると輪郭が少しぼやけて青みがかって見えます。
ADMの治療法はレーザーのみ(ピコまたはナノ)となっています。理由はADMのメラニンは他のしみと違って真皮層に存在するため、ピークパワーの高い強力なレーザーでなければ破壊することができないからです。
ダウンタイムは老人性色素斑にレーザーを当てた場合と同じですが、表皮にメラニン沈着しているわけではないのでダウンタイム終了後も色素は残存しています(見かけ上改善している様には見えない。これは真皮のメラニンはターンオーバーにより剥がれ落ちないから)。ただし、レーザーにより真皮内のメラニンは破壊されているため時間と共に貪食細胞により徐々に除去され薄くなっていきます。時間は相当かかる上に、表皮のレーザーによる炎症後色素沈着が重なり元のしみよりは濃く見える期間が長いのが老人性色素斑との違いです。レーザー照射を数回繰り返すことによりADMを除去することができます。