目のクマの種類
①表皮の炎症後色素沈着(茶クマ)
眼瞼は人体で最も薄い皮膚でありながら構造的に弱いにもかかわらず,感覚が敏感なため腫れやかゆみなど炎症が起こりやすいです。日常生活ではメイクにより眼瞼を日常的に刺激しています。これにより表皮の炎症性色素沈着が起こりやすくなると言えます。
②静脈の透見(青クマ)
下眼瞼の静脈が浮き上がって青く見えるために,クマが入ったように見えるケースがあります。治療はロングパルスレーザーNd:YAGを使います。
③眼窩脂肪の突出(黒クマ)
下眼瞼には皮下脂肪が存在しませんが,眼輪筋の後ろから眼球に押され前方へ眼窩脂肪が突出するケースが多いです。本来は眼窩脂肪は眼窩隔膜や眼瞼皮膚といった支持組織に支えられていますが,加齢性変化によりこの支持組織が緩んできたり,頬部眼窩脂肪が萎縮・減量することで皮膚のハリが減り,前方に押し出されることがあります。この突出した目袋の下側が光線の加減で影になって黒く見えるためクマとして認識されます。確認方法は化粧で隠れるかや皮膚を引っ張ってテンションをかけた時に突出がなくクマが消えるかで確認します。
④皮膚が薄いため眼輪筋が透見している
下眼瞼は皮下脂肪がなく,真皮のすぐ下が眼輪筋となっています。したがって誰でも,疲れた時など顔面の血液循環が低下した場合に,眼輪筋が静脈うっ滞し紅色から暗青色に変化するため目のクマが出現します。この下眼瞼部位の皮膚が薄い方は日常的にクマが出てしまいます。確立した治療法はありません。
⑤小じわ
下眼瞼は皮膚が非常に薄く構造的に弱いので,通常の皮膚とは異なるパターンでシワが形成されます。つまり大きな太いシワより細かいシワが多数形成される場合が多いです。この場合は遠くから見るとシワというよりは下眼瞼全体が黒く見える場合が多いです。これがクマに見える原因です。皮膚を軽く引っ張ってシワを伸ばすと色が消えることがあります。治療は注射やレーザーリサーフェシングで肌質改善を行います。
⑥ADM
下眼瞼はADMの好発部位です。この部位に出るADMはちょうど目の下のクマの形に出ることが多いです。小斑状ではなく局面状に出現し,20〜30代に両側性に出現するため目の下のクマとして認識されるケースが多いです。特徴は灰青色の独特な色調でレーザー治療で改善することです。