市場にはたくさんの化粧品がありますが、成分を勉強することで今の自分に本当に必要なものがわかってきます。人それぞれ肌質も違い、美容に費やすことができる資金も違うため「誰かがおすすめしていたから使っている」という様なことがないようにしていきましょう。
化粧品と医薬部外品の違いについて
まず化粧品は医薬品医療機器等法によって化粧品と薬用化粧品に分類されています。どちらも定義があり、化粧品については「人体に対する作用が緩和なもの」で「人の身体を清潔にし美化し魅力を増し容貌を変え、または皮膚もしくは毛髪をすこやかに保つためのもの」と定義されています。一方で薬用化粧品は化粧品としての効果効能に加えて、ニキビを防いだり、美白やデオドラントなどの効果をもつ有効成分が配合され、化粧品と医薬品の間に位置づけられています。医薬部外品とはこの薬用化粧品を初め、育毛剤や除毛剤などを包括して呼びます。
化粧品
厚生労働省が認可した有効成分(「にきびを防ぐ」「紫外線によるシミ・そばかすを防ぐ」など)が規定量配合されているわけではないので、パッケージなどで表現することはできません。有効成分の訴求ができない。
化粧品は化粧品基準を満たせば、製造販売業社の自己責任で、何でも好きな量を配合することができます。つまり完全オリジナル製品が独自の判断で作ることができます。医薬部外品として製造販売する承認を得ていないので効果を表現することはできませんが、医薬部外品と同じ有効成分を配合できかつ、医薬部外品以上の量を配合できます。何でも配合することができるため、全成分表示が義務付けられています。
配合禁止成分としては、医薬品の有効成分(例外はいくつかあり、従来から化粧品に使われてきた医薬品であるグリチルリチン酸2Kなどは)、感染の恐れのある生物由来成分、第一種/二種特定化学物質、ジエチレングリコールが0.1%を超えるグリセリンが該当します。
医薬部外品(薬用化粧品)
医薬部外品は厚生労働省が認可した有効成分(「にきびを防ぐ」「紫外線によるシミ・そばかすを防ぐ」など)が規定量配合されているため、パッケージに記載することが可能です。ただし医薬品よりは低濃度であり治療目的というよりは予防目的であることが主体となります。
医薬部外品は効果、安全性、有効性、品質が厚生労働省より保証されているため、しみやニキビなどのトラブルが気になる場合は、効果の保証が明記されている医薬部外品が良さそうです。ただし、有効成分の量だけで判断した場合は化粧品の方が多い可能性があるため、一概にどちらがいいとは判断できないのが実情です。
化粧品では全成分表示義務がありますが、薬用化粧品には有効成分の薬事申請をしているため、全成分表示義務はありません。ただし消費者の購買意欲を下げないように企業が自主基準で表記していることが多いです。
全成分表について
全表分表を見てわかることは、少なくても安定化剤(防腐剤・保湿剤・酸化防止剤・キレート剤・増粘剤・界面活性剤・乳化剤)や香料などがわかります。また全成分表では多いもの順に並んでおり、多くの化粧品の場合は基剤が一番多く配合されていて、最後に着色剤となります。配合量を1%以上にすると製剤の粘度が上がりすぎてしまうためヒアルロン酸Na、セラミド、増粘剤は1%以上を超えないことが多いです。また医薬品として使用されるグリチルリチン酸2Kや植物エキスも1%以下ですが効果は十分期待できます。1%以下の成分は順不同で記載が可能です。1%未満のものが多く含まれる商品の場合はメーカーにより消費者が好む成分を前に表記されることが多いですが、多い順に並んでいるわけではありません。注意しなくてはならいのはキャリーオーバー成分は表示しなくていいことです。キャリーオーバー成分とは配合されている成分に付随する成分で製品中にはその効果を発揮されるより少ない量しか含まれないもので、表示しなくてもよいとされています。しかし、キャリーオーバー成分は防腐剤などの旧表示指定成分だったものが多いので、アレルギーの原因物質として見逃す可能性があります。
まとめ&考察
必ずしも医薬部外品に承認された有効成分を配合した薬用化粧品のほうが承認されていない化粧品よりも効果が高いというわけではありません。というのも薬用化粧品は国によって効果が認められる成分の配合範囲量が規定されているため、濃度が製造・販売会社に委ねられている化粧品に比べると配合量が少ない可能性があるからです。
余談
美白化粧品について、機能性化粧品を使用したら即日で効果が出るように錯覚してしまう表現が散見されますが、おそらくこれはあり得ないと思います。というのもメラニン生成過程のいずれかを防ぐ化粧品を使用し、新たにシミが生成されなくなっても皮膚のターンオーバーによりその色素が排泄される1ヶ月は待たなければ効果が最大化しないからです。