フラーレンとは
フラーレンは比較的新しい化合物群であり、炭素原子のみで作られた球状分子でその化学式はC60、炭素の同位体(ダイヤモンドや鉛筆の芯のグラファイトも炭素の同素体)です。1985年の発見以来、フラーレンとその類似体の多くは、その物理・化学・生物学的システムにおける潜在的な効果を明らかにするために研究されてきました。生物学的システムにおいては潜在的な抗酸化剤である可能性があることが示され、化粧品への応用が始まりました。
引用;Fullerenol nanoparticles: toxicity and antioxidant activity
しかし、フラーレンは疎水性・凝集性があり、化粧品に配合することは非常に難しいだけでなく自身の強力な抗酸化作用により他成分の還元を行い、その後自身が急速に酸化され抗酸化力を失ってしまいます。さらに分子量は720.6(>500)であり通常のスキンケア化粧品に含まれていた場合は容易には浸透しません。このため、化粧品として配合する場合は誘導体化やリポソーム化といった安定化技術を用いた上で配合されます。
効果
抗酸化作用
2004年のビタミンC60バイオリサーチによって報告されたスーパーオキシドに対するフラーレンの影響検証によると、対照群(アスコルビン酸、アスコルビルリン酸)と比較して有意なスーパーオキシド消去活性を示していました。
引用;ビタミンC60バイオリサーチ株式会社(2004)「外用組成物」
美白効果(メラニン生成抑制作用)
UVA誘導性メラノジェネシスに対するフラーレンの効果検証およびヒト皮膚色素沈着に対する有用性検証によるとチロシナーゼ阻害による美白効果が報告されています。