HIFUについて
High-intensity focused ultrasound(HIFU)とは、高密度焦点式超音波のことです。虫眼鏡で太陽光を集めるように超音波エネルギーを一点に集束させることで、集束された組織を熱破壊・熱凝固させます。美容目的では主に2つの効果が期待されます。
超音波について
超音波は空気中よりも水中で伝導速度が大きく、深達度もあるため、水分が主な構成成分である人体において、深達度の面で非常に相性がいいです。超音波は検査だけでなく、治療にも利用されています。
1つ目は深層に存在するsuperficial musculoaponeurotic system(SMAS)に熱変性を与え筋膜にタイトニングを加え、緩みづらい土台形成をします。SMAS以外にもその熱作用は真皮のコラーゲンやエラスチンを変性させスキンタイトニングをしていきます。
2つ目は皮下脂肪コンパートメントの熱収縮を促し、下垂した脂肪組織を減量することです。
HIFUは均一な深さの一直線上に次々と点状に熱を発生させます。したがってコラーゲンの収縮はその直線上に起こります。表皮、真皮、皮下脂肪、SMASそれぞれの異なる深さに熱を加えるので3次元的にリフトアップとタイトニングが期待できます。
ポイント
皮下脂肪が多い傾向がある方には脂肪をある程度減量できるカートリッジを選択できる方がいいです。逆に過度に皮下脂肪が少ない場合、ドットカートリッジのみとし、過度に脂肪が減少しないようにカートリッジの深さの選択が必要です。
ある程度フェイスラインが整っている方には引き締めに伸びしろがないので治療効果を実感しにくいです。
HIFU機械の種類
①ULTRAcel Q+(Jeisys Medical社、韓国)
このHIFUは音響エネルギーを高密度な点状に集束させる一般的なドットカートリッジ以外にも線上にHIFUを照射することで脂肪溶解様作用を誘導するリニアカートリッジもあります。
皮下脂肪が多い傾向がある方にはドットカートリッジ以外にもリニアカートリッジが併用できるULTRAcel Q+が効果的です。
②ULTRAFORMERⅢ(CLASSYS社、韓国)
音響エネルギーを高密度な点状に集束させる一般的なドットカートリッジのみなので、皮下脂肪が全体的に少ない方向けです。
③LifteraTM(ASTERASYS社、韓国)
音響エネルギーを高密度な点状に集束させる一般的なドットカートリッジのみなので、皮下脂肪が全体的に少ない方向けです。
④Ulthera®︎System(Merz Aesthetics社、ドイツ)
HIFUの先駆けで2009年にFDAで唯一eye brow lifting(眉毛のリフトアップ)効果がある医療機器として認可されています。機械本体にエコー画像が表示されるため、確実な処置が可能です。
合併症
解剖学的理由から通常は当てることはないがHIFUの特性上、非特異的熱損傷を加えるため、眼窩下神経/顔面神経下顎縁枝/眼窩上神経/顔面神経側頭枝などの一過性神経症状が出る可能性があります。最長でも1ヶ月程度で改善するて例が多いです。
サーマクールとはどう違うのか
単極性連続RF治療(サーマクール)では、表皮から皮下脂肪まで全体的にゆっくり均一に加熱しコラーゲンを変性させます。HIFUは各層(表皮、真皮、脂肪、SMAS)に分けてピンポイントに熱を与え線上に照射していくことでリフトアップ効果を期待します。
「料理に例えると一気に高温加熱するHIFU、ゆっくりと低温で加熱するサーマクール、ゆっくり低温で加熱した方が内部まで均一に加熱され、柔らかく弾力のある仕上がりになります。」