リポソームとは1964年 Bangham が生体膜脂質によって形成される膜様構造体が閉鎖小胞であることを発見し、人工的に脂質から構成される閉鎖小胞をリポソーム (liposome) と呼ばれるようになりました。リポソームが閉鎖小胞であることから、その性質を利用して薬剤のcarrier としての応用が1970年代から研究が盛んに行われるようになりました。
化粧品のリポソーム化技術
リポソーム化とは医療分野においては皮膚に浸透しない成分を生体の構成成分である細胞膜(リン脂質二重層)で覆うことで安定性を保ったまま皮膚内へ浸透させる技術(Drug Derivery System)です。
親水性のリン酸基(頭部)と疎水性の脂肪酸鎖(テール部分)をもつリン脂質が二層に連なった脂質二重層で構成されており、ほぼ全ての生物で細胞膜の基本構造として存在しています。リン脂質のような両親媒性分子は、水溶液中に存在すると親水性のリン酸基は水溶液側に向かって動くため外側に位置し、また疎水性の脂肪酸鎖は水溶液から自ら離れて内側に向くように自然に自己集合して球体になります。これが閉鎖小胞、つまりリポソームです。
リポソームのパイオニア企業
KOSE
ビタミンC化粧品のリポソーム化
リポソーム化され化粧品に配合されたアスコルビン酸は、そのままのビタミンCという意味でピュアビタミンCと呼ばれています。リポソームのような皮膚浸透技術を用いたアスコルビン酸は、皮膚内でアスコルビン酸としての効果を発揮する目的で配合されています。ただしビタミンC誘導体と比較した論文や浸透率についての論文がないため、現状はビタミンC誘導体の方が優位性があるのではないでしょうか。